世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA

世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA顧問メッセージ

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公益財団法人 がん研究会がんプレシジョン医療研究センター 所長

公益財団法人 がん研究会がんプレシジョン医療研究センター 所長
内閣府戦略的イノベーション創造プログラム・
AIホスピタルディレクター
シカゴ大学 名誉教授、東京大学 名誉教授
2020年『クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞』受賞
中村 祐輔

がん撲滅サミットが日米がん撲滅サミットとなり、今年は世界がん撲滅サミットに発展して開催されます。規模が拡大していくことはもちろん喜ばしいことですが、それにも増して喜ばしいことは、これまでの東京開催から、私のふるさとの大阪で開催されることです。私は大阪で生まれ、大阪で育ち、31歳まで大阪で生活していました。大阪大学、大阪府立病院、市立堺病院で医療を学んだ後、大阪を離れて数十年の歳月が流れましたが、ふるさとは何歳になっても恋しいものです。
大阪の皆さん、そして、がんを撲滅したいと願っている皆さん、一緒に盛り上げましょう。
今年は、これまでは困難であると思われていた壁でも、一つの技術革新で簡単に乗り越えられることが、コロナ感染症のmRNAワクチンという形で示された年です。多くの日本の専門家と称する人たちができないとコメントしていた短期間でのワクチン開発を、新しい技術が可能にしたことを、われわれは目の当たりにしました。そして、ビオンテック・ファイザー連合軍のビオンテック社とモデルナ社は、これからのがん撲滅を目指しているわれわれの仲間なのです。多くの方はご存じないと思いますが、2017年にビオンテック社はNature誌に「Personalized RNA mutanome vaccines mobilize poly-specific therapeutic immunity against cancer」とタイトルの論文を発表しました。タイトルからはわかりにくいのですが、実はがんのネオアンチゲンを、mRNAを利用して作らせて、がん患者の免疫を高めることを証明した論文なのです。昨年も紹介しましたように、私たちは、ペプチドと呼んでいるタンパク質の一部を合成する方法でネオアンチゲン療法に取り組んでいます。ペプチドとmRNAという方法は異なりますが、ビオンテック社はネオアンチゲン療法を目指していた競争相手でした。そして、今では、ネオアンチゲンを利用した治療は、米中を中心に90以上の臨床試験で検証されつつあります。
技術革新で大きな壁を乗り越えることができる可能性をmRNAワクチンは証明しましたが、これは治らないと考えられているがんも、技術の進歩で直すことができる可能性を示したことでもあります。そして、私の旧友のジョンスホプキンス大学のボーゲルシュタイン教授のグループは、抗体を利用したT細胞療法に取り組んでいます。

大阪では、30年以上にわたる技術革新が、病気の原因を見つけ、治らない病気を治せるようにしてきた歴史を振り返ると共に、がんを撲滅することが夢ではないことをお話ししたいと思っています。
皆さん、夢が現実になることを願って、共に闘いましょう!

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