世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA

公益社団法人日本対がん協会会長メッセージ

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公益財団法人日本対がん協会 会長・国立がんセンター 名誉総長

公益財団法人日本対がん協会 会長・国立がんセンター 名誉総長
垣添 忠生

『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』の開催、誠におめでとうございます。
がんは高齢者に多い病気ですが、日本は超高齢社会に急速に移行しつつあり、今や年間に100万人が罹患する時代を迎えました。
また、国民の2人に1人ががんに罹患する時代ですから、がんは誰にとっても無縁の病気とはいえない。私どもはそうした時代に生きています。
がんの5年生存率は、私が医師となった50年以上前には40%以下だったのですが、医療の進歩とともに上昇し、今や65%を越えています。もう直70%を超えるでしょう。そのため新しい問題として「がんと就労」つまり働きながらがんに向き合う、といった課題も生じてきました。つまり、がんは治る病気に変わってきました。それなのに依然として世の中には「がん=死」というイメージが氾濫しています。
そのため、がんと診断されると、多くの人々が「頭が真っ白になった」といい、治療中もいつ再発転移するかと怯え、疎外感、孤独感に苦しんでいます。
日本対がん協会では、この状態を何とかしようと、2017年6月に「がんサバイバークラブ」を立ち上げ、サバイバー支援を続けています。加えて、「がんで苦しむ人や、がんで悲しむ人をなくしたい」を念願して、がん予防・がん検診の推進、がん患者・家族の支援、正しい情報の提供に取り組んでいます。
がんのゲノム・エピゲノム情報が実診療に取り入れられ、新しい免疫チェックポイント阻害剤やCAR-T細胞療法などが保険診療に組み込まれるなど、がん医療は日々進歩しています。
10年先には、「がんは誰でもかかる可能性のある普通の病気の一つ」とそのイメージが変われば、がん患者、サバイバーに対する偏見や差別は自然に消えていき、がんを隠すことなくがん患者、サバイバーも明るく生きることができる時代が来るでしょう。昨今のコロナ禍によってがん検診は激減し、医療従事者、医療機関の疲弊は目を覆います。こんな事態に敗けないためにも「がん撲滅サミット」は、関係者の衆知を集めるという意味で、極めて重要です。
本サミットの大成功を心より祈念しながらメッセージとさせていただきます。

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