国立国際医療研究センター理事長メッセージ

『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』副大会長
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 理事長
國土 典宏

新型コロナウイルス感染症流行の第5波により、わが国は医療崩壊の危機にまで追い込まれましたが、秋に入りワクチン接種の普及とともに流行が収まりつつあります。新たな抗体療法や抗ウイルス薬も登場しようとしており、国産ワクチン開発も進み、希望の光も見えてきました。パンデミックが始まって2年近く、我々はいろいろな我慢を強いられ多くのことを学び今、ポストコロナの時代に向けて準備を始めています。一方、昨年の流行第一波の頃からがんを含む新型コロナ以外の疾患に対する診療の萎縮や遅れが心配されてきました。実際、国民の通院控え、がん健診の遅れなどで進行してからのがん診断が増えているのではないかと、医療者として感じています。流行の中でもがんの高度医療を担うべき多くの特定機能病院や中核病院は、病棟・スタッフのやりくりをしながら、新型コロナウイルス感染症重症患者の高度集中医療とがんの治療を両立させてきました。
世界がん撲滅サミットは今年で通算第7回となりますが、首都圏とともにパンデミックの影響を最も受けた大阪で、本会を初めて開催することは大変意義深いと考えます。本サミットは作家・ジャーナリストの中見利男氏が、がん患者死亡率を将来的にゼロにしていくために、医療をはじめ、政府、官僚、経団連などの各界に呼びかけて「オールジャパンでがん撲滅に向けて立ち上がろう」と提唱したことから始まった、がん撲滅ムーブメントです。前々回から前内閣府参与の原丈人様を大会長に迎え、さらにグローバルな視点からがん撲滅を考えるサミットになりました。前回は「日米がん撲滅サミット」でしたが、今回はEU代表講演も加え、まさに「世界がん撲滅サミット」の名にふさわしい構成となっています。

恒例となりました後半の公開セカンドオピニオンでは、多くのがん治療のエキスパートにご登壇いただき、会場の皆様からの質問に答えていただくことになります。昨年の第6回は多くの皆様の来場をいただき成功裏に終了いたしましたが、今回もそれに劣らず素晴らしい『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』になるものと実行委員会の一人として確信しております。よろしくお願いします。

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