内閣総理大臣
菅 義偉

『日米がん撲滅サミット2020』の開催、おめでとうございます。

新型コロナウイルス感染症が終息していない状況下において、医学の進歩に向け、皆様が日々取り組まれていることに心より敬意の念を表したいと思います。

日米の医学協力は、昭和40年の佐藤栄作総理大臣とリンドン・ジョンソン大統領との会談に基づいて「日米医学協力計画」が始まって以来、50年以上に亘る緊密な連携の歴史があります。こうした日米連携を、我が国の医療分野における国際連携活動の中核として位置付け、今後さらなる関係強化に向けて取り組んでいきたいと考えております。今回の日米がん撲滅サミット2020の開催が、日米の協力関係の一層の発展につながることを期待するものです。

さて、先人の方々も含めたご尽力の成果もあり、我が国は、世界最高水準の平均寿命を達成し、人類誰もが願う長寿社会を現実のものとしました。これからは、人生100年時代を見据え、健康な状態で長生きしていただく「健康長寿社会」を実現することが大きな課題となっています。

政府では、全閣僚からなる健康・医療戦略推進本部の下、医療分野の先端的研究開発や新産業創出等を推進し、健康寿命の更なる延伸の実現に向けた取り組みを進めています。
中でも、長らく死因の首位を占めてきたがんについては、平成30年3月に第3期のがん対策推進基本計画を決定し、①科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、②患者本位のがん医療の実現、③尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築、を目標に掲げ取り組みを進めています。

また、近年、個々人に最適化した患者本位のがん医療として「がんゲノム医療」が注目されています。昨年12月に策定した全ゲノム解析等実行計画を着実に推進し、治療法のない患者に新たな個別化医療を提供するべく、産官学の関係者が幅広く分析・活用できる体制整備を進めてまいります。

加えて、治療と仕事の両立支援を進めるため、企業の意識改革や両立を可能とする社内制度の整備促進や企業、医療機関とそれらと連携するコーディネーターによるトライアングル型のサポート体制の構築など、がんになっても自分らしく生きることのできる地域共生社会の実現を目指しています。

これらの施策により、いつ、どこにいても安心して納得できる医療や支援を受けられるよう引き続き取り組み、ひいてはがんを克服し、活力ある健康長寿社会を形成していきたいと考えています。

最後に本会合がご参加の皆様にとって実り多きものとなることを期待いたしまして私のメッセージといたします。