第5回がん撲滅サミット
永世大会長 故・北島 政樹 先生
公益財団法人がん集学的治療研究財団 会長
学校法人国際医療福祉大学 副理事長
国際医療福祉大学 名誉学長
謹啓 皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
第5回がん撲滅サミット大会長として、一言ご挨拶させていただきます。
おかげ様で昨年の大会は佐治重豊・前大会長(第5回大会名誉大会長)のリーダーシップによって北は北海道から南は沖縄までの全国各地の皆様をはじめ、中国、韓国、台湾など内外から約1100人の皆様をお迎えし、大盛況のうちに終了することができました。
そして今年開催するがん撲滅サミットは創立5周年を記念する、まさに画期的な大会にするべく最前を尽くす努力をしてまいりますので、ご支援・ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
さて、約4000年近く続いてきた人類とがんとの闘いは、2018年10月にPD-1チェックポイント阻害剤によって本庶佑先生がノーベル医学・生理学賞を授与され、一気に免疫療法が世界的な注目を集めたことにより、いよいよがん撲滅に向けて最終局面に入ったと言っても過言ではありません。
また閣議決定で第3期がん対策推進基本計画で新たに科学的根拠を有する免疫療法の充実が盛り込まれ、国のがん対策にも大きな影響を与えました。
さらにゲノム医療やAIの導入、光免疫療法、ウイルス療法、漢方医療を中心とする統合医療のような新しい治療法の登場は今後、診断法の発達と相俟って体に負担のない低侵襲及び個別化医療の幕開けを告げるものといえるでしょう。
これによってがんとの闘いは克服から撲滅に向かってさらなる前進を遂げることになると期待されます。
ここで大事なことは、治療の手段が無いと言われた患者やご家族の皆様の、治療の継続を望む気持ちを無視したり、踏みにじる行為は現に慎まなくてはならないと思っております。
福澤諭吉の「贈医」と題する七言絶句があり正に医師と患者の関係を示しております。
『医学というものは自然と人間との限りない知恵くらべの記録のようなものである。医師よ、自然の家来に過ぎないというてくれるな、離婁(視力の確かな仙人)のようなすばらしい眼力と麻姑(古代中国の仙女)のような行きとどいた手をもってあらゆる手段を尽くしてこそ初めてそこに医業の真髄が生まれる。すなわち医師は常に勉強に励み、時に天に反逆してでも患者を長生きさせ、治療する努力をすべきである』
私はいつもこの福沢諭吉先生のお考えを心に留めております。
そういう意味でも医療者の皆様も患者の生きる権利を尊重し、謙虚かつ丁寧に患者や家族の皆様と向き合うべきでありましょう。そのためには専門外の治療法に対しても頭から否定するのではなく、少しでも患者の皆様の為になる治療はないものかと世界の動向に目配り、気配りをする気持ちが大切なことは言うまでもありません。
そこで創立5周年を記念する今大会のテーマは『全がん種の根治を目指せ!立ち止まるな日本!!』とさせていただき、がん患者の皆様に希望と期待の光をお持ち帰りいただける歴史的ながん撲滅サミットにして参る所存です。
大事なことは、がんという大いなる人類の難問に対して、政府、経済界、患者、ご家族、一般市民、そして医療者が心を一つにしてオールジャパンで向き合う環境を作り上げることです。それが「がん撲滅サミット」を旗揚げさせて頂きました最大の目的です。
どうぞ私共の趣旨をご理解いただき、ご協力、ご支援のほどを宜しくお願い申し上げます。
がん患者がそこにいる以上、我々は現状に満足して立ち止まることは許されません。「がん撲滅」という人類のニューフロンティアに対し、皆様と共に前進する大会とさせていただきます。
是非、当日、会場でお会い致しましょう。
謹白