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2021.12.20

一般社団法人 日本経済団体連合会メッセージ

一般社団法人 日本経済団体連合会 審議員会 副議長
アステラス製薬株式会社 代表取締役会長
畑中 好彦

『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』が開催されますこと、心よりお慶び申し上げます。また、当サミット開催にご尽力されました関係者の皆様に心から敬意を表します。
がん対策にはがんの早期発見・早期治療が重要な取り組みの一つとなります。「新型コロナウイルス感染症によるがん診療及びがん検診などへの影響について(中間報告)」※ によると、2019年度と比較した20年度の住民検診におけるがん検診受診者数は、8〜9割ほどに減少しており、がんの早期発見・早期治療への影響が懸念される状況です。ただ、この減少は主に緊急事態宣言が発令された20年4、5月の検診受診者数の大幅な減少に起因しており、6月以降は19年度並みまで回復したという明るい兆しも示されています。当サミットの目標の一部にがんの早期発見実施の重要性が謳われていますが、こうした「がん死をゼロに近づけようとする、たゆまない努力」が重要だと考えております。
経団連は、多様な価値の包摂と価値の協創によって「サスティナブルな資本主義」を確立する必要性を掲げ、一人ひとりが未来へ向けたアクションを実行していくことを呼びかける「新成長戦略」を昨年11月に取りまとめました。「新成長戦略」には実現したい未来像の1つとして、「DXを通じた新たな成長」を「生活者との価値協創」と共に描いており、ヘルスケア分野に必要なアクションとして「個人起点のヘルスケアの推進」、「デジタルを活用した医療介護の普及」、「データドリブンのヘルスケアサービスの開発」の3点が記載されています。がんに対しても、一人ひとりのがん患者さんを起点として、データに基づいた医療サービスを提供するためのアクションが必要だと考えています。
がん撲滅を目指すには、患者さんとそのご家族、医療界のみならず、産学官を含む全てのステークホルダーが垣根なく関わり、国際的な連携・協力を推進すること、およびこれらマルチステークホルダーそれぞれのニーズを充足しながら価値を協創していく取り組みが重要となります。私ども産業界も、ステークホルダーの一員としてがん撲滅に向けたアクションに参画すると共に、イノベーションを絶えず創出し、社会に価値を還元すべく挑戦を続けて参ります。

当サミットが、がんと向き合う患者さんとそのご家族の希望につながるとともに、ご参加の皆様にとって実りある素晴らしい場となること、さらには「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催される2025年の大阪・関西万博の成功にもつながりますよう祈念しメッセージといたします。
※出典:「第33回がん検診のあり方に関する検討会(令和3年8月5日)」 資料4