上野尚雄先生よりご来場の皆様へのメッセージ

上野尚雄(うえの たかお) 先生
国立がん研究センター中央病院
歯科医長


 

がん患者さんに起こる、治療に伴う様々な苦痛症状や、生活の支障となるような困り事の中には、口腔に関連するものも多数あります。口内炎が毎回できる、抗がん剤の度に歯肉が腫れる、口が乾燥してしゃべりづらい、食事が食べづらい・・・。これら口腔の副作用・トラブルには、がん治療が終了した後も長く続いてしまうものすらあります。

「食べること」「話すこと」に関わる口腔の問題は、生活の質に大きく影響するだけでなく、時には円滑ながん治療の妨げともなり得ます。がん患者さんにとって「お口からしっかり食事をとる」ことや「円滑な会話でコミュニケーションをとる」といった口腔の機能を良好に維持することは、とても重要なことなのです。

これら「がん患者さんに起こる口腔の諸問題」に対しては、歯科の介入によりそのリスクを下げることができるもの、解決できるものが多数あります。

がん患者さんへの歯科の支援、いわゆるがん医科歯科連携は保険診療上の項目でも評価されるようになり、今や当たり前のがん支持医療の一つとしてコンセンサスを得つつあります。がん治療中だからというだけの理由で、歯科受診のハードルが高くなる、口腔の辛さを我慢しなければならない、という状況は「がんになっても安心して暮らせる社会」とは言えません。

お口の困りごと、心配なことはありませんか? 

公開セカンドオピニオンでは、がん治療によって起こるお口の副作用に対してできることや、がん治療を上手に乗り越えるための歯科の有効な活用法など、お口にかかわる疑問、お悩みをお伺いし、その解決のために何かお役に立てればと思っております。

また皆様からのご意見を受け取り、歯科もがん診療チームの一員として、しっかりがん患者さんの治療と生活を支えるお手伝いができるよう、今後の医療体制づくりに活かしていきたいと思います。
皆様からのご質問を、心よりお待ち申し上げます。

●専門分野
がん治療における歯科支持医療

●学歴
1997年  北海道大学歯学部 卒業
1999年  北海道大学 大学院歯学研究科 博士課程 入学
2003年  北海道大学 大学院歯学研究科 博士課程 卒業

●職歴
1997年 北海道大学 第一口腔外科 入局
2003年 室蘭日鋼記念病院 歯科口腔外科 研修医
2004年 静岡県立静岡がんセンター 歯科口腔外科 入局
2007年 静岡県立静岡がんセンター 歯科口腔外科 副医長
2008年 国立がんセンター中央病院 歯科 医員
2012年 現職

●主な活動
日本がんサポーティブケア学会(粘膜炎部会:部会長)
日本がん口腔支持療法学会(副理事長)
8020推進財団 理事
山梨大学医学部附属病院 非常勤講師(歯科口腔外科)
昭和大学歯学部 兼任講師(口腔衛生学部門)
長崎大学歯学部 非常勤講師(加齢口腔生理学)

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