清松知充先生よりご来場の皆様へのメッセージ

清松 知充 先生
国立国際医療研究センター病院
大腸肛門外科 診療科長


 虫垂と卵巣の特殊な粘液産生腫瘍の破裂に伴う播種によって引き起こされる腹膜偽粘液腫という病態は、発症頻度も高くないために一般には広く知られておりません。
 しかし、悪性度が一般の大腸癌に比べて低く、それゆえに腹腔内のみに病気が広がり、抗がん剤もあまり効かないとても厄介な病態です。
 現時点では外科治療が唯一の根本的治療となります。
 ただし、欧米では広く標準治療として認められている完全減量手術(腹膜切除)・術中腹腔内温熱化学療法も、日本ではなかなか認知が進まず高額な自費での治療で行わざるを得ないのが現状です。
 大きな侵襲を伴う手術ではありますが、少しでも低侵襲に安全に行われるように日々取り組んでおります。一般的な大腸癌や直腸癌の播種については、これと同様には治療が難しいのが現状ですが、特に腹膜偽粘液腫については適切な治療のオプションにまでたどり着けずに亡くなってしまわれる方もまだまだいると思われますので、少しでもこのような疾患について皆様に広く知っていただき、治療の普及が進んでいくことを願っております。
 皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

●専門分野
・大腸癌・直腸癌の外科治療
・直腸癌手術における機能温存手術(肛門、排尿機能、性機能等)
・ロボット(ダヴィンチ)手術および腹腔鏡手術による低侵襲治療
 腹膜偽粘液腫の外科治療
・特殊な粘液産生腫瘍の腹膜播種である腹膜偽粘液腫の外科治療
 < 完全減量手術(腹膜切除)と術中腹腔内温熱化学療法 >
・虫垂粘液瘤(未破裂で腹膜偽粘液腫の前段階の虫垂)の手術

●主な経歴
1998年 東京大学医学部卒業
1999年 癌研究会附属病院 外科 
2000年 NTT東日本関東病院 外科
2003年 東京大学大学院 医学系研究科 外科学
2007年 日立製作所 日立総合病院 外科
2011年 東京大学医学部 腫瘍外科 助教
2016年 東京大学医学部 腫瘍外科 特任講師
     腫瘍外科・血管外科 医局長
2017年 国立国際医療研究センター病院 外科
(2018年より大腸肛門外科 診療科長)

●主な資格
日本外科学会:専門医・指導医
日本消化器外科学会:専門医・指導医
消化器がん外科治療認定医
日本がん治療認定医機構:がん治療認定医
大腸肛門病学会:専門医
日本内視鏡外科学会:技術認定医
日本ロボット外科学会:専門医・Robo Doc Pilot認定(消化器外科)

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