米国代表メッセージ

レオン・O・ジェイコブソン 医学教授
プレシジョン医療研究センター センター長
シカゴ大学医学部総合がんセンター 臨床科学担当 副所長
マーク・J・ラテイン

今年の『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』に参加できることは誠に光栄です。
岸田文雄首相をはじめとする日本の皆様には、このように快くお招きいただきましたことを心より感謝申し上げます。
私は、大会長の原丈人氏、提唱者の中見利男氏、そして日本の医学界の皆様と協力して、世界全体で「がん撲滅」という重要な問題に取り組むことを大変嬉しく思います。
今回の大会は、アライアンス・フォーラム財団が日本政府と共同で開催した『2019ワールドアライアンス・フォーラム in San Francisco』で行われた「日米がん撲滅共同宣言2019」の勢いを加速させ、がん撲滅を中心とした高齢化に伴う医療問題に取り組むものです。
そのフォーラムで私は、数多くの世界的な専門家と交流し、シカゴ大学医学部総合がんセンターで開発されているがんに対する個別化治療薬の最新のイノベーションを皆様と共有する機会を得ました。がん撲滅サミット提唱者の中見利男氏もその中の一人です。2019年にこのような有意義ながん撲滅サミットとのコラボレーションの機会を設けてくださった日本政府と原大会長に敬意を表します。

これまで米国と日本は、がん撲滅のために協力してきた長い歴史があります。私は、世界的に著名ながん研究者であり、遺伝学者でもある中村祐輔博士と、国際的な研究機関やシカゴ大学の同僚として共同研究を行う機会に恵まれました。これらの共同研究を通じて、私たちはがんの薬理学において重要な発見をすることができました。このように、相互に利益をもたらし、がん医療の科学を前進させる国際的な協力関係の例は数多くあります。

現在、世界は多くの新しい課題に直面していますが、中でもCOVID-19のパンデミックは、ワクチンや治療法が急速に開発・承認されているにもかかわらず、1年半以上も続いています。
一方、がんの長期的な制御や根絶を成功させるためには新しい治療法の開発と実施が必要ですが、これについてはCOVID-19以上に様々な課題があります。
現在、大手・中小の製薬会社やバイオテクノロジー企業が開発中のがん治療薬は1,300種類を超えています。このような競争の激しい分野で、各企業が開発に伴うリスクを正当化しようとすると、地球の平均気温のように、新薬の価格は上昇し続けるでしょう。私たちは、医薬品開発と医薬品利用の効率を向上させるための戦略を開発しなければなりません。その一つが薬剤の低用量の使用に向けた実用化戦略です。
さもなければ、医薬品へのアクセスを、支払い能力のある少数の個人に限定することになるでしょう。
今年の『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』によって、私たちのコラボレーションが世界のがん治療の向上にどのような影響を与えることができるのか、楽しみにしています。
このような世界との持続的な共同作業があって初めて私たちは、がんで苦しむことのない世界に向かって進むことができるのです。
本日は本当におめでとうございます。

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